コントリビュータの意思を無視してのソフトウェアライセンスの変更は本当に可能なのか？
今までの私の理解では、ソフトウェアのライセンスを変更するためには、すべての著作権者の同意が必要であり、オープンソースソフトウェアの場合、そもそもすべての著作権者(過去すべてのコントリビュータ = ソースコード提供者)の同意を得ることが難しく、ライセンスの変更は非常に困難なものと理解していました。
そのため、一部のプロジェクトでは、寄贈されたソースコードの著作権を譲渡してもらうなどして厳密な管理を最初から行っていました。
しかし、今回の CodeIgniter のライセンス変更に際して、EllisLab は法的にはソースコード提供者の意思とは無関係にライセンスを変更できるという見解を示しました。CodeIgniter には、ソース提供に際して著作権譲渡などの契約は全くありませんでした。今もまだないですが。
もちろん、EllisLab は、どんな場合でもソースコード提供者の意思を無視してライセンスを変更できると主張しているわけではありません。CodeIgniter のケースではそれは可能であるという見解です。
Blog | ExpressionEngine より。強調は私による。
The law also makes a distinction between copyrighted work and registered copyrighted work, only the latter of which would have a standing to file a lawsuit if a dispute ever arose. There also has to be proof of financial loss as a result of the misapplication of the registered copyright. There aren’t any contributions to CodeIgniter under registered copyright, and even if there were, it doesn’t seem likely that such a person would file a law suit against every individual who has ever earned money as a result of using CodeIgniter.
EllisLab によれば、法的には「copyrighted work」と「registered copyrighted work」は別のものであり、「registered copyrighted work」のみが紛争が起こった場合に提訴可能である。CodeIgniter の場合、「registered copyright」でのソース提供はない。よって、ソース提供者の同意は必要ないという理論です。
Since the contributions were made freely, we’re hopeful that we won’t have any who decide to remove their contributions, but rather than stick with the legal theory that it’s not necessary, we want to take the high road, the ethical road, the one that respects the community, and let each one decide.
結論としては、この見解が本当に正しいかどうか、私にはわかりません。そもそも「registered copyrighted work」が何なのかもわかりませんので。
とはいえ、このような見解は、今回はじめて目にしました。そして、あまりというかほとんど全く話題になっていませんので、記事にしておくことにしました。
